忍者ブログ
女性向け同人サイトに付随するブログです。一切の機関に無関係ですので通報等はご遠慮下さい。
2024/11
< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

業務連絡から。
金曜日の朝の段階で入金が確認できたものは発送済み、頂いたお問い合わせには全てお返事済です。おかしなことがありましたらご一報下さい。



どうしてこうなったかわからないんですが、もともとパラレルがとっても好きなので、とりあえず定番に当てはめてみる癖があります。しかし自分でもどうして今回こうなったのか分かりません。バンド? 組んだことないよ! 聴く音楽? ボカロ廃だよ!
でもとりあえずなんでかバンドパロです。

・Vo.臨也、Gt.静雄、Ba.千景、Key.遊馬崎、Dr.門田
・ぶっちゃけベスト配役はドタチン
・臨也以外は同じ大学、ボーカルは探していた
・シズちゃんの友達の新羅が、「君たちと聴く音楽が似てて、歌が上手いのが高校の同級生にいるんだけど……すごく嫌な奴なんだけど、紹介しようか?」
・ポイントは、「喋る言葉は全部嘘っぱちに聞こえるのに、歌う姿を見ていると真実だと勘違いする」

***

「吸うの?」
 ふいにかけられた声に静雄は渋々振り返った。ハイライトメンソールは箱から1センチだけ取り出されていた。大学が違うお前がなぜここにいる、なんて愚問で、喫煙所までわざわざ自分に会いに来たのかと思えば余計に不愉快だった。
「手前が来てるなら吸えねぇだろ」
「言うことはイケメン」
 笑う顔が腹立たしい。
 静雄がバンドを組んでいるのは自分の大学の友人同士で、ボーカルの臨也だけが、自分の友人である新羅の紹介で現れた。新羅の高校の友人で、君と音楽の趣味があって、歌がうまいけど、嫌なやつ。
 学内の隅の喫煙所は複数の学生たちの憩いの場で、他の学生の前で臨也と会話するのはごめんだった。喫煙所に背を向けて歩き始めると、臨也はぴょこぴょことついてくる。
「で、誰に会いに来たんだ」
「このあと練習でしょ? 俺今日の講義午前だから、他大見物」
「そうかそうか、じゃあごゆっくり」
「えーシズちゃん暇なんでしょ、案内してよ」
 素知らぬ顔で黒いカットソーに包まれた腕が静雄の白シャツの腕に絡められそうになったので、静雄はそれをとっさに払いのけた。臨也の表情がすこしだけ曇ったように思ったけれども、彼に慈悲を見せると自分が痛い目を見るのだ。
「珍しいモンもねーよ」
「じゃあシズちゃん普段何処でご飯食べるのさ」
「学食」
「連れてってよ」
「いま営業時間外」
「えー」
 何のかのと喚き立てながら身の回りにまとわりつく臨也は、しかし皮膚同士の接触を図るのを絶妙に避けていた。払いのけたのがそんなに落ち込んだというのだろうか、傷を隠そうとするその仕草がいつも、静雄が臨也の言葉たちを信じない理由だった。
 授業中なのでそれほど大学内に人は見あたらなかった。ベンチに適当に腰を掛けると臨也も倣った。勝手にどこかに行ってくれと言う静雄の願いを彼が聞き入れるはずもない。
 ギターは授業中で居場所のある門田に預けてある。吸いそびれたハイライトメンソールを一瞥するが、あの白い喉を毒せないと思っているから、吸いに立とうとすら思えなかった。
 臨也の言葉なんて信じてはいない。だがその喉が紡ぐ音は、声は、真実じみて静雄の心を打つ。横に座ってきょろきょろと大学を見回す彼の喉と、少し上についている唇を見て、息をのむ。
 彼は沈黙していれば造形は文句のつけようがなかった。薄いけれども横から見ればその唇は少しふくらんでいてしっとりとしていた。喉は透けるような白で、自分の大学という日常に転がり込んだその存在がなんだか、妙にまぶしく思えた。
「なあに?」
 視線を感じて振り返った臨也の瞬きと同時に降りた睫毛と、少しふくらんだ目蓋が、いつものスタジオではなくて屋外の明るいところで見ているからだろう、参りそうな心地だった。
「なんでもな、い」
 ベンチの向こうの校舎の廊下を、女子学生が連れだって歩いているのが見えた。バンドのライブに(六条から)声を掛けられてくれて、何度か来てくれたこともある、程度の知人だ。
 どうしてだろう、彼女たちにどうしても、今日の臨也を見せたくないと思った。そんな自分の思惑を、彼が歌い上げるのを聞かされてときどき恐怖するのだろうとうっすら気づき始めていた。ただそれを、受け入れられるかと言えば、いまはまだ無理だった。
 ただ。
「あ、あのこたち」
「手前飯食ってないんだろ、モスでも行くか」
 言いながら既に立ち上がっていた。彼の表情を見下ろすことは出来なかったが、彼女たちを臨也の視界から遮ろうと、ただそのことに必死だった。
「……うん」
 立ち上がった臨也は逆に静雄に表情を見せなかった。だがそのほうがかえってやりやすかった。喫煙席に座りたいと打診する気力はなかった。どうせ彼を傷つけたくないなんてエゴは押しつけようがない。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Admin    Write    Res
忍者ブログ [PR]