そのヴェールの奥に

隠している空色の目を誰かに見せたくないと願うことは、これはどことなく独占欲というやつの仕業で、どうにも夢心地になっていけないと東海道は思った。肩幅を隠すために分厚く重ねたヴェールで、ほぼ色のない紅を重ねた口元で、襟の詰まったドレスを見つけてきた同僚を憎む方が良いかもしれないくらいだ。
「落ち着いているな」
彼が是とも非とも言わないことを承知して東海道は言った。それは単に口を開いて音を出すと言うことを彼が知らないからだ。案の定京浜はこくりと頷いただけだった。
共に歩くのに契約した人間と式だというシンプルな事項はある意味十分だった。そこにさらに見せかけの式を執り行うことにはそれなりの目的があった。現に彼は薄い緊張を張り巡らせて集まった人間たちの欲を読み取ろうとしている。それゆえに手元にとられた花やそれを支える東海道の腕に対してはそれほど意識が行かないようだった。
「どうだ」
『重たい欲は隠されているのか、或いは』
小声で話すふたりはそれこそ今日の主役であった。花嫁は背が高い、と遠くで揶揄するような声が聞こえた。当たり前だと思う。どれだけでも無理をさせてばかりだ。
目を伏せれば思い出す。
横浜の夜の海を背景に、笑う空色のドレス。
『……確かに存在しています』
「そうか」
それがわかれば十分だ。軍人たるもの、敵を知らずに先に進んでも仕方がないし、敵を知っても動かなければならないかどうかは又別なのだから。
それよりもいま手にしたその、意外にも細くも何ともない手首を、いとおしく感じていると言うことのほうが、ある意味問題なのかも知れない。

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っていう本を六月インテでジューンブライドしたい山崎です、こんばんは残念なほどに生きてます。
仕事にも転職にもおたくにも半端な毎日をジューンブライドしたいので六月インテは結構出るつもりでおります。
何はなくてもインテだし。青鉄インテ振興部員としてはがんばらなくちゃいけないのでその前に誰かエンターの壊れたキーボードを何とかしろって言って下さい……