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短い字数でお話を纏めるのはとても楽しいのでついつい投げてしまいます。
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ひゃ、と突然高い声で叫んで両耳を塞ぐ。目を眇めた彼は、怖い、とか。雷は光と音が盛大でも、街中の公園に落ちるはずもないのに。標識は投げ捨て、フードを被せる。部屋、行くぞ。濡れた前髪越しの緩む赤い目に言って頭ごと引き寄せたら、正面から抱きついて背中にしがみつく手でこちらが殺されそう。(4213。とんでもない雷の日に、雷が怖い臨也さんとか言う人がいるから)
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夏至は一番夜が短い。「夏至は嫌い」臨也は言う。熱気に耐えかねて目を瞑り「だってシズちゃんといられる時間が短いもん」「朝も昼も会えるだろ」「夜が好い」それでも胸板に頬をすり寄せて「邪魔されないでしょ」夜が似合う情報屋は薄く笑う。抱き寄せた項に薄く浮かぶ汗は、彼に似合わない夏の匂い。(4213。夏至ってロマンチックだと思ったけど当日は暑かった覚えしかない)
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わざとらしい咳をする臨也を見て気遣う心など沸かず、むしろ煙の混じった息を細く彼に吹きかける。今度は本当に喉に入ってしまったのか咳込んで、エチケットとか無いわけ、と喚く。手前に俺の匂いつけてんだ、と言えば、顔を赤くする彼も馬鹿だ。つまり、この時勢、喫煙席を選んでくれる彼が悪いのだ。(4213。23区ってだいたいどこも禁煙ですよね、生きづらそう)
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奪って欲しいと思う。どこにも行くななんて陳腐な台詞で引き留めて欲しい。彼がそう言う人間ではないと知っているからこそ、「起きたのか」「寝る」「そうか」擦り寄る。煙草の匂いがするシャツに染ませた思いに気付かないまま、夜は明けてしまえ。狭いベッドは二人きり、世界はこれだけで終われない。(4213。こういう未練たらたらなのを垂れ流してる臨也さん書くのが好きです)
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あの女海賊の首を取れば報酬を、と叫ぶ声が聞こえた。群集に紛れたフランスに気づく彼が綺麗に口角を吊り上げるから、首より鬘を取ってやりたい。臙脂の薔薇より毒々しい赤は目を狂わせる。否、前髪が特徴を隠せば、間違いなく姿は美しいマドモアゼル。手をさしのべればナイフが突き刺さると知っても。(仏英。だからこういう本を出したいんだってば!)
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煙草の残り香は勘違いするから嫌いだ、と臨也は言う。さながら恋、マーキング、俺は今日もハイライトメンソールを買い、隣で水を買う臨也は顔をしかめる。染まるのを止めないのは誰だ、俺はまた図に乗り、彼を抱きながら考える。残り香などなくても、臨也をこの手に捕まえた気になれるのはいつだ、と。(4213。メイトが甲吸い出したときにとりあえず勢いで)
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ぼんやりとした不安を感じる時代は終わり、どんな物事が刺激になるかは人次第。虚構に夢を見るのは一つの真実、どんな流行小説に君が絆されるかも自由。でも、俺が君を愛してるだろう、なんて見透かすのは勘弁して。その言葉を受け止める覚悟があれば、とっくに殺してる、誰よりも憎くて、特別な君を。(4213。たぶん初書きかも、習作感がふらふら)
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恋みたいな情熱的な衝動、僕にはないよ。笑う眼鏡の奥の空色がいっそ憎い。彼は正論を吐き、諦められない自分は愚かだ。徒に笑う薄い口元を食い破ることを考えても、結局東海道もそんな衝動は持たない。ただそれなら、この甘い毒を、どう受け止めればいい。聞きながら、壁と腕で、彼を閉じこめるだけ。 (JK。国鉄時代くらい、昭和こういうの出したい)
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夕焼け雲の色が綺麗、と見上げて彼は呟く。赤、紫、どの色を取ったって、言い表しきれないその色は、僕の世界にないんだ、と言って大きな目を細めた。彼が望んで潜ったわけでも、自分が望んで彼がそこにいるのでもない、仕方のないことを、それでも自分は勝手に惜しむ。彼は、良い迷惑だよ、と笑った。(TN。南砂町以東、案外好きです)
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山崎の思惑を無視して土方は女の着物の裾を割って手を差し入れる。歓楽街に相応しく刷いた白粉の香りに土方は嫌な顔をした。そんなに近づかなくても良いです、と小声で言っても、それくらい諦めろ、というだけ。古い建物の壁に押しつけられて、上から油断した獲物が落ちてくるのを待つ、3秒前のこと。(ひじやま。こういうのばっかり書いてた)